こんにちは!
新米義足ユーザーのこぶちゃんです。
切断手術から2カ月、義足で歩き始めてから約2週間が経ちました。義足を履くのにも慣れて、義足姿が少し板についてきた感じがします。
ところで、みなさんは義足の構造を詳しくご存知ですか?
当事者または家族や友人に義足の方がいる人ではない限り、義足について知る機会は少ないのではないでしょうか。
私も切断の話が出るまでは、義足という言葉は知っていても、義足の知識はほぼ皆無でした。
街で義足の方を見かけたこともなかったので、近いようで遠い世界でした。
義足について知りたいと思った時にまず頼ったのがネットです。そこで義足の履き方を紹介しているYouTubeの動画を見つけました。
下腿義足の装着方法を実演していた動画で、投稿していた方の笑顔が印象的だった。
義足の種類は違っても、下腿義足は大腿義足と共通している点があるので、学ぶことがたくさんありました。
動画を見る前は「義足=負のイメージ」があったけど、そんなことないかもって思えたのはその動画のおかげ。
その動画に救われたので、私もブログという別の媒体ですが、少しでも自分から情報発信をしながら、これから義足になる方の力になれたら嬉しいです。
この記事のハイライトはこちら↓
・大腿義足の構造
・コンピューター制御されている最新の膝の特徴
切断を控えているご本人やそのご家族、友達など大腿義足について知りたいという方に向けて、大腿義足をパーツごとに一つずつかみ砕きながら説明していきたいと思います。
大腿義足のパーツ【ソケット】
大腿義足の心臓ともいえるパーツが【 ソケット 】です。
上の画像の透明の部分です。
ソケットの履き方は2種類
ソケットの履き方は大きく分けて2種類あります。
私はライナー式を使用しています。
そのライナー式の中でも、ライナーの先端にあるピン(ネジみたいなもの)でロックをかけるピン式を使用しています。
よくみるとソケットの底の部分に穴が開いていて、ピンの先端が顔を出しているのが分かると思います。
ピンを引き込んでロックすると、ロックを解除しない限りライナーは抜けない仕組みになっているので、安心して歩くことが出来ます。
ソケットには緻密な調整が必要
そんな体全体と義足を繋ぐソケットは、歩行のパフォーマンスを左右する重要なパーツです。
ソケットの適合がうまくいかないと、歩いている途中に擦れて痛みがでます。
また、ソケットを履いた時の角度によっては、ソケットの縁がガッツリ内股に食い込むこともあって、このまま歩き続けたら傷ができるかもと肌感覚で分かるようになります。
傷が出来てしまったらリハビリを中断せざるを得ない時もあるので、未然に防がないといけません。
そのため、ソケットの緻密な調整は欠かせません。
断端の状態は日によって変化するので、それにも柔軟に対応できるような高度な技術が求められます。
3Dプリンターの技術でソケットを作ることも今後あるかもしれないけど、やっぱり職人の手によるソケット製作は必要だと思う!
ソケットの作製を担うのは義肢装具士
そのソケットを製作している職人さんが義肢装具士です。
あまり馴染みのない職業かもしれませんが、義足ユーザーにとっては切っても切り離せない存在です。
ソケットに問題があるとすぐに修正の対応をしてくれる方で、自分の痛みの原因を取り除いてくれます。
また、ソケットの調整だけではなく、義足ユーザーの意向にできるだけ沿う形でソケットを製作してくれます。
写真のソケットはチェックソケットなので、比較的シンプルですが、仮義足や本義足になるとソケットに自分の好きな柄を入れてオシャレを楽しむことができます。
生地を持っていくと、樹脂でソケットに好きな柄を入れてもらうことができますよ。
やっぱりオシャレは足元からですね。
大腿義足のパーツ【膝継手】
人間の膝関節にあたる部分が【膝継手】です。
膝継手は3種類
膝継手の種類はここにすべて書ききれないぐらい多岐に渡りますが、ざっくり分けると3種類あります。
これらの膝継手を提供している二大巨頭として有名なのが、アイルランドに本社を置くÖssur(オズール社)とドイツ発祥のOttobock(オットーボック社)です。
私が今試用しているのは Össur社の油圧式の膝継手トータル二―2000です。
リハビリを始めた頃は空圧式の膝継手を使用していましたが、途中で油圧式の膝継手に変更しました。
床に踵がついたときにカチッと微かに音がするので、抜群の安心感があります。
膝が不意に折れるのを防止できる油圧式の膝継手が自分には適していると思います。
重すぎずバランスも維持しやすいので、個人的には好きな部類に入る膝継手です。
もちろん空圧式の膝継手でガンガン歩いている人もいるので、最終的には好みの問題だと思います。
個人の活動量や生活環境、ニーズ、体力、金額などを総合的に加味しながら、自分が使いやすいと思う膝継手を選びましょう。
これから担当の義肢装具士と理学療法士と相談しながら、もっと色んな膝を試していくつもり。
最先端技術の集結 GeniumX3(ジニウムX3)
コンピューター制御の機能が付帯している膝継手GeniumX3(ジニウムX3)には、最先端のセンサー技術が結集されています。
歩行時の姿勢や路面環境を敏感に感知して、それに合わせて膝が瞬時に制御されるので、これまでの膝とは比べ物にならないほど滑らかでより人間らしい歩行が可能になります。
しかも防水なので海に入っても故障する心配はありません!
これだけ高機能なので、その分高価な物になります。
動画を観ると喉から手が出るほど欲しくなるけど、絶対に手が出ない金額だから残念(笑)でも夢はあるね~!
膝継手の性能は日進月歩で向上しているので、今後どんな膝が開発されていくのか楽しみですね。
大腿義足のパーツ【足部】
地面と接した時の衝撃を受けるパーツが【足部】です。
足部のバネ
カーボン足部の中にはカーボン製のバネが入っています。
バネの部分を見せてもらったことがありますが、硬いカーボンのバネの部分は手で曲げようと思っても絶対に曲がりません。
ただし、体重ぐらいの重さがかかると、バネによる反発力で推進力が働きます。
また、使用されているバネのしなり具合によって、足部の機能や金額に差が出ます。
足部の選択肢
膝継手と同じ様に、足部も義足ユーザーの個別のニーズに合わせて様々な種類の中から選択することができます。
サンダルや下駄を履きたい人は、足の親指と人差し指の間が空いている足部。
ヒールを履きたい人は角度を変えられる足部。
それぞれの用途に適した足部を選択するといいでしょう。
ヒール用の足部があって本当に良かった。冠婚葬祭の時にヒールを履く機会があるからね。
足部によっては、人種に合わせて3種類ぐらいの肌の色の中から1色選ぶことができるそうです。
自分の足が一番白いですね(笑)
足部のサイズも健足のサイズより一回り下の足部を選ぶことになります。
健足は23cm。本来なら22cmの足部を履くのに、やけに靴がパンパンに膨らんでるなって思ったら、24cmの足部を履いてたことがあった!
まとめ
今回は大腿義足の主なパーツ、ソケット、膝継手、足部について詳しく説明しました。
実際にはもっと細かいパーツが存在していて、それらが複雑に働くことで健常者のような滑らかな歩行が可能になります。
どこか一つにでも欠陥があればうまく機能しないのが義足です。
緻密な調整や細かい作業を地道にこなす義肢装具士の方がいるからこそ、義足の人が高い歩行パフォーマンスを実現できることを忘れてはいけないですね。
そして、義足の機能面だけではなくて、見た目のオシャレの幅も広がっていることは義足を履く者としてはとても嬉しいことです。
【 隠さなければいけない義足 】から【メカニックでカッコいい義足】 という世間の義足のイメージも変わりつつありますね。
義足のデザインやカラーバリエーションのカスタマイズの幅が広がって、見た目もオシャレになっているからだと思います。
好きなパーツを組み合わせたりソケットに柄を入れたりして、自分だけの義足を作れるなんてワクワクしますね。
私もこれから義足のパーツ決めをすることになりますが、毎日履くものだからこそこだわって、納得のいく義足を作りたいと思います。値段とは要相談です(笑)
↓余談ですが、今ではこんなオシャレな義足用の外装も誕生しています。