切断経験者に聞いてみた

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【切断を選択】メディア媒体と人脈を駆使して国内外の切断経験者に話を聞いてみた

こんにちは!

新米義足ユーザーのこぶちゃんです。

年末年始はリハビリが休みなので、のんびりまったりと過ごしています。

2020年は穏やかな年になるようにと願うばかりです。

そろそろ2019年も終わるということで、2019年の総括として、切断を選択する決め手となった情報の集め方を振り返ってみたいと思います。

思い返せば、2019年はひたすら自分の脚と向き合って、結果的に足を落とすことになった1年でした。

切断は突然の出来事ではなくて、長い時間をかけて自分で納得した上で出した答えです。

決断するまでにおよそ1年半の歳月を費やしました。

手術の1年以上前から切断もあり得るかもしれないと頭の片隅に置いてはいましたが、それが現実に起きることとして受け止めきれてはいませんでした。

実際に切断の話が現実味を帯び始めたのは、切断手術予定日の1週間前です。

猶予としてもらった1週間という短い時間の中で、切断を選ぶ覚悟を決めました。

このようなケースはもしかしたら珍しいかもしれません。

自分で選択する余地もなく突然足を失ってしまったという人もいるからです。

そのショックや絶望感は計り知れません。

ただその気持ちと同じように、自分で切断を選択しなくてはいけない厳しさもあります。

日によって決断が揺らぐ時間が続く中で、答えが出ないもどかしさと絶望感に涙が止まらない日が何度もありました。

前々から切断の可能性もあると分かっていたはずなのに、いざそれを目の前にすると恐怖心が襲ってきて、手術の前日ギリギリまで決断することが出来ませんでした。

それでも切断すると強い気持ちで臨むことができたのは、後悔が残らないように、時間がある時にネットや人脈を使って国内外の義足ユーザーから義足の情報を集めていたからです。

様々な媒体を使って情報を集めましたが、生の経験談に勝る情報はないと感じました。

切断を控えている方や切断をするか否か選択を迫られている方の参考になる記事になれば嬉しいです。

なぜ義足を使っている人に直接連絡を取ったのか

そもそもなぜ義足を使っている人に直接連絡を取ったのかというと、切断後の正確なイメージを掴むには、義足をすでに使っている人から話を聞くほうがいいと考えたからです。

ネットで義足のテクニカルな情報は見つけることができても、一番知りたかった義足の人の生活に関する情報は限られていました。

ということで、生の情報を得るために、義足を使っている人に直接コンタクトをとることに決めました。

こぶちゃん
こぶちゃん

理想と現実のギャップを少しでも埋めるためには、より正確な情報が必要だなと。こんなはずじゃなかったと思うことがないように、疑問に思っていることは何でも聞こうと思ったよ。

断端や義足の条件は人それぞれ違うので、複数の人から話を聞くことにしました。

実際に話を聞く中で、義足になった自分を少し想像できるようになった気がします。

義足ユーザーの探し方:Instagram

instagram

InstagramのDM機能を使う

国内外の切断経験者や義足ユーザーから話を聞こうと思った時に役に立ったのがInstagramです。

Instagramで#amputee(切断者)と検索すると、義足の姿を投稿している人がたくさんでてきます。

その中から大腿義足を使っている人にDM(ダイレクトメッセージ)を送りました。

すると、オーストラリア在住の同世代の女性から私の質問に快く答えてくれるとの返信がありました。

その女性は義足歴が1年半の大腿義足ユーザーです。

義足のメリット、デメリットを理解する

義足の良い面ばかりに意識が向いてしまって、日常生活で何が大変なのか想像できなかったので、義足になって苦労したことを知りたいと伝えました。

こぶちゃん
こぶちゃん

ニュートラルな立場で判断するには、義足のメリットとデメリットどちらも知っておく必要があるなと思ったよ。

やり取りをしていた時がオーストラリアがちょうど夏だったので、断端の蒸れについて聞きました。

彼女の場合、義足を履き続けるうちに断端の汗腺から汗が出ることがなくなって、断端が汗でかぶれたりするような問題に直面したことはなかったそうです。

むしろソケットが合わなくて苦労した時期の方が長かったと話していました。

断端が急激に萎んでしまったことが原因だそうです。

切断を選択するとそういった問題にも日常的に対処していかないといけないのだと、足を失うことの重大さを改めて考えさせられました。

ただ、彼女は決してマイナスなことだけを言っていたわけではありません。

Instagramの投稿写真を見ていると、義足になってからの1年半の間に、ジムに行ったり、海外旅行をしたり、アクティブに活動をしていたようです。

「思っているより何でもできるから大丈夫だよ!」という前向きな言葉に私は救われました。

義足ユーザーの探し方:人脈

中高の恩師を通して大腿義足の後輩を紹介してもらう

中高時代の水泳部の恩師は、高校生の頃に発病した時からずっと私の体のことを気遣ってくださっています。

そんな恩師に自分の状況を伝えに行ったところ、恩師から「後輩に大腿義足の子がいるから会ってみなよ」と思ってもみない提案を頂きました。

後輩の女の子は幼い頃に義足になったので、義足歴は10年を超える義足の大先輩です。

お言葉に甘えて、後日直接会って話す場をセッティングして頂くことになりました。

ハンデをバネにする後輩の精神的な強さに勇気をもらう

後輩の女の子は高校生らしからぬ凛々しさと目力が印象的でした。

彼女はパラリンピック水泳の期待の星で、世界大会でもメダルを獲得するほどの実力の持ち主です。

そんな世界でも活躍する彼女の誕生秘話を恩師から聞くことができました。

彼女は実はたった数年前までは泳いだこともなかったそうです。

恩師は障がいをもった選手の育成は初めてだったそうで、手探りで練習メニューを考えていたそうです。

初めは体のバランスが崩れてうまく泳ぐことができなかったそうですが、練習の虫だった彼女は人並み以上の努力で水泳の才能を開花させていきました。

「片足であるハンデにも負けず人一倍努力をした甲斐もあって、今では健常者と同じ練習メニューをこなしてるむしろ普通の子よりも速いよ。でも、シャワー室でひとり泣いている姿もみたことがあったから、きっと辛い時期もあったとは思うけど

と恩師が教えてくださいました。

義足であることを隠す様子もなく、スポーツを心の底から楽しんでいる彼女の姿をみた時に、彼女の真の強さをみたような気がしました。

辛い時期を乗り越えたことで身に付いた強さが原動力となって、世界を目指すまでに成長したのだと思います。

こぶちゃん
こぶちゃん

どんな状況になっても自分の気持ち次第で物事がプラスにもマイナスにも働く。義足になるからと言って可能性が狭まるわけではないと思わせてくれたのは彼女だったな。

いつか義足姿で会える日が来たら、感謝の気持ちを伝えたいですね。

義足ユーザーの探し方:リハビリ施設を訪問

リハビリ施設に足を運んでみる

入院中のリハビリ施設(義肢装具サポートセンター)は、切断手術の前に2度訪れています。

1度目は手術の半年前。2度目は手術の前日。

主治医から「義足専門のリハビリ施設に行って、実際にリハビリの様子を見てきてごらん。それから手術するか判断したらいいよ。」と言われたので、センターに伺うことにしました。

私が訪問した時は、だいたい10人ぐらいの患者さんが平行棒や杖を使って歩行練習をしていました。

現実とのギャップを最小限に

リハビリ中でお忙しい中、後に私の担当になる理学療法士の方がわざわざ時間を作って、私の話に耳を傾けてくださいました。

「切断を選んでも、ここに来たら絶対に歩けるようにしてあげるから。安心して。」という言葉が心に刺さりました。心強い一言でした。

また、足がなくなったという出来事の後だとは思えないぐらい明るくひたむきにトレーニングをされている患者さんの姿も印象的でした。

切断直後の方がリハビリをしている姿を実際にみることで、切断後の自分がリハビリしているイメージトレーニングを繰り返すことができました。

「切断を選んでも後悔しない。きっと大丈夫だ。」とセンターを再訪した時に強く思ったので、訪れて良かったなと心から思っています。

切断後の現実とのギャップに苦しむことが少なくて、気持ちを安定させることができたのは、事前に何が待ち受けているのか知ることが出来たからだと思います。

まとめ

以上、 国内外の切断経験者に話を聞くために駆使したメディア媒体と人脈についてでした。

当たり前のことですが、切断をしてしまえば足が戻って来ることはありません。

なので、悔いのない選択をするための情報収集はとても大切です。

私にはたまたま切断後の自分を想像する【時間】と義足の情報を集めることができる【環境】があったので、とても恵まれていたと思います。

遠方に住んでいたら、義足専門のリハビリ施設を何度も訪れることはきっとできなかったでしょう。

また、外傷や緊急性の高い腫瘍の手術の場合は、時間をかけて切断を受け入れる時間をとるだけの猶予をもつことも非常に難しくなります。

切断を選択した決定的な理由は別にありますが、切断経験者/義足ユーザーから直接話を聞くことができたことで「その選択でもいいんだよ」と背中を押してもらえたような気がするので、行動に移して良かったと思っています。

この記事を読んだあなたが最善の選択ができることを心から願っています。

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