こんにちは。
新米義足ユーザーのこぶちゃんです。
リハビリを始めてから1カ月が経ちましたが、開始当初と比べると歩き方が格段に上達しました。
平行棒がないところでも歩けるようになったことで、これから練習の幅もどんどん広がっていきそうです。
4週目は歩くフォームの改善を目標に掲げながらリハビリに取り組みました。
その練習内容がこちらです。
・骨盤の動きを意識しながら歩く練習
・ウォーキングマシーンで歩数を稼ぎながら断端を絞る練習
・場所に応じて2種類の歩き方を使い分ける練習
それぞれの練習の内容と練習後に断端に見られた症状について詳しくまとめてみました。
4週目の歩行の様子も動画で確認してみてください。
断端長や基礎体力などによってリハビリの進捗具合には個人差がありますが、「20代の女性なら1カ月でこれぐらい歩けるようになるんだ」とだいたいの目安にしてもらえたら嬉しいです。
メトロノームで一定のペースと歩幅を保つ練習
メトロノームを使うことで、様々なペースに合わせて歩く練習や歩幅を均一に保ちながら歩く練習ができます。
普通の人がゆっくり歩くスピード:60カウント
健常者のゆっくりペースは、メトロノームだと60カウントと同じぐらいのスピードです。
このカウントに合わせながら、両足を一定のテンポで前に出しながら歩く練習をします。
「針が黒い丸にきたときに交互に足の踵をつける」
ひたすらこの繰り返しです。
一定の速度で歩くと、歩幅も一定に保たれます。
ちょうど平行棒を2本繋げた長さを60カウントのペースで歩くと、端から端まで12歩で歩くことができます。
メトロノームに合わせて歩きながら、12歩で歩けているか確認したよ。
もし歩数が少なかったり逆に多かったりしたときは、左右で歩幅が違うということです。
この練習は歩行ペースと歩幅のどちらも意識しないといけないので大変です。
しかし、これができるようになると、スピードに緩急をつけたりできるので、練習する価値はあると思います。
普通の人が早く歩くスピード:120カウント
60カウントの倍のスピードが120カウントです。
通勤している人と一緒に歩くときは、これに近いスピードで歩くことになるでしょう。
点滅している信号を渡る時にも対応できそうです。
すごく速い。こんなに早く義足を動かすことできるのかな?
歩幅を短くしながらテンポよく足を動かすと、スピードが出せるようになるそうです。
ただ私はスピードを出して歩くのがとても苦手です。
どちらかというとゆっくりとしたテンポで歩くほうが安定感があって好きです。
そうは言っても、ゆっくりとしか歩けないと、状況に応じて臨機応変に動けなくなってしまうので、苦手意識を克服しないといけないと思っています。
速いテンポに慣れることが5週目の目標です。
骨盤の動きを意識しながら歩く練習
義足で綺麗に歩くには、正しい骨盤の動きを意識することが必要です。
義足に荷重したときに身体が沈まないようにする
健常者の歩き方を見てもらうと、骨盤が一定の高さに保たれていることが分かると思います。
しかし、義足の場合は、気を抜くと義足に荷重したときに身体が下にグッと沈んでしまいます。
そうすると、肩が上下に揺れるような歩き方になってしまうので、不自然な動きに見えてしまいます。
それを改善するには、骨盤を上手に動かすしかありません。
義足に体重をかけたときに骨盤とお尻に力を入れて、沈む方向と逆の方向に身体を引き上げると、美しい歩き方に近づけることができます。
しかし、体幹やお尻の筋肉を鍛えていないと沈む身体を上に引き上げることができません。
綺麗に歩けるようになるには、筋肉トレーニングも欠かせないということです。
健足側の骨盤を前にだす
一般的に、義足ユーザーは健足で推進力をつけます。
普通は義足に体重を乗せきれなくて、すぐに健足を前に出して体を支えようとする人が多いそうですが、私の歩き方はその逆です。
義足が大きく前に出てしまい、健足である右足が思ったように前に出ないのです。
そのため、歩幅も左右でバラバラでスピードも出ません。
ここで重要になるのが骨盤の動きです。
理学療法士の方に腰を支えてもらいながら、正しい骨盤の動きを教えていただきました。
タイヤを引くイメージで健足側の骨盤を出して歩いてみてって言われたよ。
義足を右足を動かした反動だけで前に出すのではなくて、それに骨盤ごと前に突き出すような動きを加えることで右足が出しすくなりました。
ウォーキングマシーンで歩数を稼ぎながら断端を絞る練習
歩くフォームが安定してきたところで、汗をかいて断端を絞る運動を始めました。
断端を絞る理由
断端を絞るような運動を積極的に行っていますが、それは仮義足や本義足を作成した後に断端の周径の変化を最小限に抑えるためです。
断端を覆っている軟部組織が多いと、その分断端の周径の変化幅も大きくなります。
仮義足の製作後に急激に断端が痩せてしまうと、義足の調整を繰り返さなくてはいけない可能性があるので、今のうちに出来るだけ絞っておかないといけないということです。
「必要のない軟部組織は汗をかくことで絞れるから頑張ろう」って言われたよ。
そこで登場するのがウォーキングマシーンです。
平行棒やリハビリ室を往復しているだけでは、滴り落ちるほどの汗が出ることはないでしょう。
何よりも断端が汗をかくことが大事なので、強制的に歩き続ける環境を作りました。
ウォーキングマシーンで15分歩き続けた後にシリコンライナーを脱いだら、断端は汗でびっしょり。
ウォーキングマシーンの設定
いつも時速2.5キロで15分から20分歩いています。
鏡をウォーキングマシーンの横に置いて、自分の歩くフォームも確認するといいと思います。
理想の歩き方はムーンウォークです。
義足をギリギリのところまで後ろに伸ばして前に蹴りだすと、自然な歩き方になります。後ろにしっかり蹴るのがポイントです。
15分って意外と長くて、歩いていると背中に汗がジワっとたまる。万歩計で確認したら、だいたい1000歩ぐらいだったかな。
午前と午後に2回ウォーキングマシーンで歩く時間を設けています。
縫合部に水泡ができる
義足を履く時間も歩く距離も長くなると、断端にかかるストレスはどんどん大きくなっていきます。
ウォーキングマシーンで歩いた後に断端を確認したところ、縫合部にポツッと小さな水泡が数個出来ていました。
幸い潰れてはいませんでしたが、念のために医師に診てもらい、テープで保護してもらいました。
シリコンライナーと断端の間に空気の層ができてしまったことで陰圧が生まれ、断端の縫合部が吸われる形で水泡ができてしまったようです。
特に縫合部した部分は溝のようになっているので、水泡ができやすいです。
炎症や赤みが出始めたら要注意です。
悪化してしまうとしばらくリハビリをお休みすることになるので、こまめにチェックしましょう。
また、シリコンライナーをピッタリと断端に密着させることも大切です。覚えておきましょう。
場所に応じて2種類の歩き方を使い分ける練習
義足には歩き方が2種類あります。
オフィスや公共施設など平地を歩くときの歩き方と凹凸のある道や障害物を避ける歩き方です。
状況に応じて2種類の歩き方を使い分けることができると便利です。
平地を歩くときの歩き方
平地は転倒の危険が比較的少ないので、歩くフォームに意識を向けることができます。
平地を歩くときのポイントは、義足を振り上げないで自然に前に出すことです。
義足を床にこするようにして前に持っていき、つま先が上がりきる前に自分で踵を床に押さえつける動きを素早くかつ丁寧にできたら、綺麗に歩いているように見えます。
振り切ってしまうと、ロボット歩きみたいに見えてしまうので、つまずく心配がない場所では義足の動きに気をつけながら歩くと良いでしょう。
凹凸のある道を歩くときの歩き方
凹凸のある道で綺麗に歩くのは至難の業です。
外の道でフラットなところはほとんど皆無だと思います。
小さな溝や点字ブロック、段差など障害物の連続です。
こういった道を歩く時には、綺麗に歩くことよりも、躓かないように大胆に歩くことがなにより大切です。
あえて歩幅を大きくしたり小さくしたり、臨機応変に対応しながら歩くことができると、障害物が多い道でも長時間かつ安全に歩くことができます。
4週目の歩行の様子
多少左側に身体全体が斜めに倒れているように見えますね。
杖をついて歩いている様子です。まだ義足を投げ出してしまっていますね。
まとめ
義足を綺麗にかつ自然に動かすには、スキルと時間が必要になります。
コツを教わったからと言ってすぐにできるようになるわけではないのが義足の難しいところです。
一度にすべてを修正すると混乱するので、私は一つ一つ課題をクリアしながらリハビリに取り組んでいます。
歩行距離を伸ばすならウォーキングマシーンで、フォームを直すなら鏡を使ってといった具合に、自分の課題をこなす意識を持ちながら練習しています。
杖があればフォームが大きく崩れることはなくなりましたが、杖がなくなった瞬間、見事にフォームがガタガタに崩れてしまうので、5週目は杖がなくても問題なく歩けるようになることが目標です。