スポーツ用義足で10年ぶりに走って味わった爽快感は格別だった話

陸上
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こんにちは!

新型コロナウイルスの影響で運動不足中のこぶちゃんです。

外出自粛が要請されているのでなかなか思うように体を動かせていませんが、きっとそれはみなさんも同じですね。

スポーツしたい欲がウズウズしていますが、今は我慢の時です。

実は一度だけ、コロナの影響が深刻になる前に、スポーツ用義足(通称:板バネ)を履いて走ってみることができたので、その時のことを振り返ってみたいと思います。

担当の義肢装具士の方に「スポーツ用義足を履いてみない?」と声をかけて頂いたことをきっかけに、切断者のランニングチーム(Z会)の練習に初めて参加することになりました。

念願だったスポーツ用義足を履いた時は感無量でした。

「ここまでやっと辿り着いたんだ」という嬉しさと「これから走れるようになるのかな」という期待が入り混じった感情が溢れました。

術後直後の自分は、走るなんて想像すらできませんでしたが、今はこうして走ってみようと意欲的に思えるまでに回復しました。

これから切断を控えている方、術後で先が見えなくて不安に感じている方に「足がなくなっても、きっと大丈夫。希望はある。」と思ってもらえるような記事になれば嬉しいです。

もう一度走りたいという強い思い

過去10年間はスポーツとは無縁の生活

私はもともと体を動かすことが好きだったので、中高の頃は水泳部に入って、毎日クタクタになるまで部活動をしていました。

そんな日常が一変してしまったのは、高校一年生の秋頃です。

病気が原因で人工膝関節を入れたことを機に、体を動かすことが極端に減ってしまいました。

人工膝関節に負担をかけるような動き、つまりスポーツ全般(水泳は除く)は控えるように医師に言われていたからです。

そのため、人工関節置換術を受けてからの10年はスポーツとはほぼ無縁の生活になりました。

スポーツをしたい気持ちが切断の後押しに

人工膝関節歴10年を無事に迎えられると思った矢先に、人工関節に細菌感染が起きてしまい、あれよあれよという間に切断を選択するかどうかの決断を迫られることになりました。

義足に心が傾き始めた理由は「スポーツができるようになるかもしれない」という淡い期待があったからです。

もちろんそれだけが切断の決め手になったわけではありませんが、決め手のひとつになったことは確かです。

この10年間、スポーツ以外に情熱を燃やせるものをずっと探してきましたが、スポーツほど夢中になれるものを見つけることができませんでした。

足を温存し続ける難しさやリスクも身に染みて感じていたので、ここは思い切って賭けに出ることにしました。

義足で走れるようになりたい

義足になったらやってみたいことリストを作ったのですが、その中で上位に入っていたのが「走る」ことでした。

なぜ「走る」ことにこだわるのか。

病気が発覚する直前、体育の授業でハードル走をした日のことを鮮明に覚えているのですが、それが自分の両足で走れる最後の日になるとも知らずに終わってしまって、悔しさとやるせなさが残ってしまったからです。

その日を境に一度も走ることができなくなってしまったので、その日のことはずっと忘れることができません。

それ以来「もう一度走れる日がいつか来たらいいな」と心の中でずっと思っていたこともあって、走りたいという気持ちが人一倍強くなったのかもしれません。

走るなんて当たり前のことじゃんと思う人もいるかもしれませんが、私にとっては人生の再スタートを新たに切るという意味でも、走ることに大きな意義を感じています。

幸いリハビリを進めていく中で「ブレードで走ってみない?」と理学療法士の方や義肢装具士の方に声をかけていただいたので、お言葉に甘えてランニングの練習に参加させてもらうことになりました。

板バネを初めて履いてみた感想

トランポリンの上で跳ねている感覚に近い

スポーツ用義足で歩く感覚はトランポリンの上でピョンピョン跳ねている感覚と似ていると思います。

スポーツ用義足の場合は、義足のバネの部分に体重がかかったその反動で前に進むので、日常生活で使用している義足よりも軽くて前に押し出されるような感覚があります。

その分、断端に跳ね返ってくる衝撃も強いです。

こぶちゃん
こぶちゃん

スポーツ用の義足からいつもの義足に履き替えると、義足が普段より重いと感じたし、歩き方がぎこちなくなってしまった。

左右の足のバランスをとるのが難しい

スポーツ用義足は健足より少し長めに設定されています。

バネの部分がコの字型に大きく曲がってるのですが、そこに体重を思いっきりかけることでバネがたわみます。

そこで初めて、立った時の義足と健足の長さが同じになります。

つまり、荷重しない状態だと義足が長い感じがするので、義足を少し後ろに下げてバランスをとる必要があります。

こぶちゃん
こぶちゃん

板バネに体重を思いっきりかけてるつもりでも、全然たわんでくれなくて苦戦したな。

初めのうちは誰かに隣で支えてもらわないと、バランスを急に崩して倒れそうになるので気をつけましょう。

気を抜くと膝折れ

スポーツ用義足は日常生活用の義足と違って、踵に体重をかけても膝折れ防止機能が働いてはくれません。

そのことを知らなかったので、立っている時に2回もカクッと膝折れして転倒してしまいました。

走る時に足が速く前に出るように、スポーツ用義足は日常用の義足よりも膝が抜けやすい仕組みになっています。

そのため、気を抜くとすぐに膝折れしてしまいます。

常につま先に体重をかけてバランスを意識することが大切です。

ランニングチームZ会の概要

以前ご紹介した月一回のランニングの全体会とは違って、Z会は週に一度ランニングの練習をしています。

Z会の概要は以下の通りです。

開催日:毎週水曜日

時間:午後7時から午後9時まで

場所:代々木公園陸上競技場、織田フィールド

参加者:15人程度 社会人が多い印象

年齢層:20代~50代

男女比:7:3

Z会には初めて参加しましたが、スタートラインの全体会にも参加されていた方が多く集まっていたので、顔ぶれは馴染みのある方ばかりでした。

ベテランの義足ユーザーさんも、初めて参加する私にスポーツ用義足の使い方のいろはを教えてくれました。

Z会のアットホームな雰囲気に安心しました。

スポーツ用義足に慣れるトレーニング一覧

準備体操と軽い筋トレをした後、スポーツ用義足に慣れる基礎練習を行いました。

大きく分けると、3つの練習方法があります。

太ももを高くあげて歩く練習

一番最初に行ったのは太ももを高くあげて歩く練習です。

義足をずらないように片足ずつ高くあげて、床に強く打ち付けます。ひたすらこの繰り返し。

この時視線が下に落ちないように注意しましょう。

これが基本の動作です。

その場で足踏み練習

その場で足踏みをすると、義足のどの部分に一番体重がかかっているかがはっきりと分かります。

両足のつま先に均等に正しく体重が乗っていると、その場で足踏みをし続けることができますが、正しい位置に体重を乗せていないと、どんどん後ろに後ずさってしまいます。

初心者によく見られることだそうですが、私もそうでした。

ではなぜ初心者はその場で足踏みができないのでしょうか。

実は膝折れしないようにする動きが無意識に働いて、前傾姿勢をとれなくなってしまうからです。

そうすると、無意識のうちに体重が体の真ん中よりも後ろに乗って、ちょっとずつ後ろに移動してしまうのです。

走れるようになるには、膝折れの怖さを克服して、前へ前へと進む気持ちと前傾姿勢を意識しないといけません。

練習しながら慣れていこうと思います。

視線を一定に保ちながら、ブレードを回して跳ねる練習

Z会に参加した時に履いていたスポーツ用義足は借り物だったので、完全に自分にあった長さに調整することができませんでした。

「義足がグラウンドに引っかからないように円を描くように義足を回すと、タイミングよく回して走れるようになるよ。内股も痛くならないし」とベテランの方にアドバイスをもらったので、その通りにしてみると、片足ずつ跳んで走ることができました。

こぶちゃん
こぶちゃん

これが義足で走る感覚なんだと、この時初めて分かった気がする。

50メートル走に挑戦

競技用義足 ランニング初日

理学療法士の方に支えてもらいながら、50メートルを走りきりました。

走っているというよりは、跳んでるという方が表現が正しいかもしれないですね(笑)

風を切って走ることができた時には、北島康介選手のように「チョー気持ちいい!」って心の中で叫んでしまいました。

顔にモザイクをかけているので表情は見えないと思いますが、走り切った後の顔は満面の笑みでした。

まとめ

以上、スポーツ用義足(板バネ)で10年ぶりに走って味わった爽快感は格別だった話でした。

走ることがこんなに楽しいと思ったのは久しぶりです。爽快感が格別です。

今までできなかったスポーツに色々挑戦したいと思う気持ちがさらに強くなりました。

今は新型コロナの影響で走ることが難しくなってしまいましたが、終息したら再開したいと思っています。

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